交通事故などで、器物や建物を損壊した場合、その財産的損害が賠償されれば精神的損害も同時に慰謝されるというのが、判例の一般的傾向です。
つまり、物損に対しての経済的補償がされれば、別に精神的損害の慰謝料請求は認められ難い傾向があります。
以下に2つの判例を見てみます。
早朝に車が店舗兼用の家屋に衝突し、財産的損害に対しては56万500円の賠償がされた。原告は営業に関する損失や諸般の不都合を訴え、慰謝料を請求したが認められず、その認容額は5万円であった。
(東京地判昭45・4・20 判タ251−311)
これは物損に対しての慰謝料額は認めない立場をとっています。
深夜にトラックが家屋に衝突し、家屋は大破した。財産的損害の賠償額は660万円であった。被害者は3〜4ヶ月も納屋暮らしを余儀なくされ、妻の日雇い労働の利益を逸するなどの損害が明らかであった。これらの要素を勘案して、60万円の慰謝料が認容された。
(松江地裁益田支判昭52・4.18)
これは被害者の生活に不便を来たしたことに対して、慰謝料を認めています。
判例では、物損に対しての慰謝料額は、財産的被害額の概ね1割程度を認容している傾向にあります。
物損事故の慰謝料について協議する場合は、判例のこのような傾向を参考にすると良いでしょう。
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