痴漢、セクハラ、強制わいせつ、強姦、未成年者との性交渉など、性犯罪を起こして加害者になった場合には、これを放置しておくと仕事を失い家庭も崩壊するなど社会的信用を無くすことに直結します。
ニュース報道やSNSでは、性犯罪に対する懲罰感情はかなり厳しく叩かれています。
対応を間違えると人生で立ち直りができないほどのダメージを受けることを理解しなくてはなりません。
女性側(被害者側)から謝罪請求があった場合には、すぐに対応して謝罪を重ねて慰謝料についての要望を聞くべきです。
この段階で無視をしたり揉めると、被害者側は警察に相談するという行動に移ります。そうして警察が事情聴取をする段階になると、もう後戻りが出来なくなります。
性犯罪に対しては刑事処分も厳罰化の傾向があり、懲役や罰金等の処分が下され、そうした前科があるとビジネスや将来の就職などにも大きなマイナスの影響があります。
被害者の怒りが強い場合は、加害者の言い分は通らずに警察でいきなり犯罪者扱いされるリスクもあります。
こうした性犯罪に関しては、被害者が警察に足を運んで相談した時点で、加害者は無傷で済む可能性は低くなります。
警察に届出をする前に、被害者が加害者に損害賠償請求をしてくる場合は、まだ話し合いで済ます余地があるということです。この段階で被害者の怒りを増幅させる言動をするのはご法度です。
例えば、現行の刑法では強姦は親告罪とされているので、被害者が告訴をしなければ原則として警察も捜査をすることはありません。(刑法改正の議論で強姦罪の親告罪を無くすという流れはあります)。
つまり、加害者が心から謝罪をして被害者の精神的・身体的損害に見合うだけの損害賠償を行えば、被害者が刑事告訴をしないという対応をする可能性があるということです。
仮に被害者の怒りが激しく刑事告訴が避けられない場合であっても、民事での損害賠償請求に誠意をもって対応して示談が成立すれば、それが評価されて刑事手続で不起訴や量刑軽減につながることも多いようです。
逆に言えば、被害者との示談が成立しない状態で、被害者が厳罰を求めるようであれば刑事処分も厳しいものになる可能性は高くなるということです。
被害者の請求する損害賠償金が高額で一括払いできない場合には、分割での支払いをお願いすることも検討が必要です。その場合は加害者側から公正証書の作成を申し出て誠意を尽くすことも有効でしょう。(公正証書とは、金銭給付に関して確定判決と同等の効力を有する厳格な契約書類です)。
刑事手続と民事手続はそれぞれ独立したものであり相互に影響しないという原則ですが、民事の示談が成立したか否かが刑事処分の量刑に影響を与えることは否定できません。
そうした現状を理解した上で加害者は謝罪を重ねて、警察への相談をしないことや周囲への口外禁止などを約する示談書を交わして事態を収拾する努力が必要です。